新連載

【新連載】柔らかい発想で子どもを見る  〜「!」を「?」に〜  3 回シリーズ(1)

滋賀大学非常勤講師  中東 朋子

◇柔らかい発想で
 早速ですが、初めに頭の体操にチャレンジしてみましょう。
 9つの点があります。この 9 つの点を 4 本の直線でつないでください。

〈ルール〉
・一筆書きで書く
・直線を途中で折ったり曲げたりしない
・一度なぞった線を再度なぞらない

みなさん、わかりましたか?

 これは、比較的有名な問題なので、ご存じの方もあると思います。正解は、インターネットでも見られますが、まずは、ご自身で考えてみてください。ヒントは、柔らかい発想。

 実は、私は、全く歯が立たなかったのです。確かに、「線の起点、終点は点でないといけない」とはどこにも書いていません。でも、なぜか自分自身に「線は点から引いて点で終わらねばならない」と思い込んで、四苦八苦していました。「枠」にはまった柔軟性に欠ける発想しかできていなかったのです。普段の生活の中でも、「枠」の中でしか考えられなくなっていることってないだろうかと思わず反省しました。

 私たちは、子どもたちを見るときも、「こうあらねばならない」と自分の枠の中にはめようとしていないか振り返ってみる必要があります。自分自身で「自分の枠」を広げるというのはなかなか難しいものです。
しかも、「子どものため」といいながら、知らず知らずのうちに自分の都合の良いようにこどもを「枠」にはめようとしていることも少なくありません。

◇「!」を「?」に変えて
 高いところが大好きな A さんは、すぐに、ジャングルジムの一番上まで登っていきます。みんなで他の活動をしようとしている時にも、あっという間に、上まで登って、なかなか降りて来てくれません。「A さーん、どうしてそんなところに登るの!降りてきなさい!」と大声で呼んでも降りて来てくれません。このようなことが繰り返しあると、ジャングルジムに登らないように、A さんの手をつかんでおくということになりがちです。私も、昔ならともかく、年と共に自分がジャングルジムに登るのが億劫になるとなおさら、Aさんの手をつかんでジャングルジムに行けないようしてしまうでしょう。でも、こんな時、「A さんは、どうしてジャングルジムの上に登るのだろう?」「何を見ているのだろう?」と「!」を「?」に変えてみたいものです。そして、A さんのところまで登って行って並んで座り、「お空がよく見えるね」としばしおしゃべりし、それから、「じゃあ降りようか」と誘うと案外一緒に降りて来てくれるものです。子どもが、こちらが考える「枠」からはずれ、何か「困った」行動をしたときに、「何でそんなことするの!」ととらえるのではなく、「何でそんなことをするの?」と、「!」を「?」に変え、柔らかい発想で子どもを見ると、新たな発見があるのです。

◇できることから始めてみましょう
 子どもたちを新たな目で見るといってもなかなか難しいですが、できることから始めてみましょう。例えば、誰かの様子を話すとき、どんな順で話すでしょうか?

① 〇〇さんは、絵をかくのは上手だが、走るのがとても遅い。
② 〇〇さんは、走るのがとても遅いが、絵をかくのが上手だ。

同じことを言っているのに、①と②では随分印象が変わります。①なら「速く走れるようにしなければいけない。」と思ってしまいますが、②だと「絵が上手ならこんなことができるかな」と前向きな発想になります。
ちょっとした違いですが、②の順で子どもの姿をとらえることを重ねていると、少しずつとらえ方が変わってきて、子どもたちを新たな目で見ることにつながります。少しずつ自分自身の「枠」を広げる第一歩です。