新連載

【新連載】「幼保小の架け橋プログラム」をはじめました②  4 回シリーズ(3)

京都市立音羽川小学校 校長 阿部 正人

 私は毎朝、正門付近で登校指導を行っています。ほとんどの子どもたちは元気に集団登校でやって来ますが、毎年、泣きながらお母さんと登校してくる1 年生や、校舎の入口でお母さんに抱きついて離れられない1年生の姿も見られます。どこの学校でも見られる光景ではないでしょうか。「少しでも早く小学校生活に慣れてほしい」。いつもそう願っています。

 そこで今年 2 月の半日入学では、子どもたちが小学校って楽しいなと一層感じられるように、実施方法を工夫しました。令和6 年度までは1 年生の教室だけで活動を行っていましたが、令和7 年度は、1 年生の教室とその隣にある「架け橋ルーム」、さらに学校図書館の3 か所を活用して実施しました。架け橋ルームでは、グループでカプラ遊びを楽しんだり、教員のギター演奏に合わせて歌を歌ったりしました。学校図書館では読み聞かせを楽しみ、教室では画用紙いっぱいに好きな絵を描いて過ごしました。

 グループ活動では、初めて出会った子ども同士が積極的にコミュニケーションを図る姿が見られ、私たちも大変驚かされました。本校では全教職員が半日入学に関わり、多くの目で子どもたちを見守っています。そのため、一人一人の様子を入学前から丁寧に把握することができました。

 こうした半日入学を経て、約50名の子どもたちがこの春、本校に入学してきました。入学後も新たな取組は続きます。「スタートカリキュラム」の充実を図りました。これは、幼児教育から小学校教育への円滑な接続を目指すもので、子どもに安心感を与え、自己発揮できることを大切にした入学当初の教育課程のことです。これまでの小学校では、小学生になったら45分間しっかりと席に着き、国語や算数、道徳など、それぞれの教科を学ぶことが当たり前と考えられてきました。私自身も、それが大切だと考えてきました。しかし、スタートカリキュラムでは、「45分間、同じ教科を学び続けなければならない」という考え方にとらわれません。そこでは、「合科的・関連的な指導」と「弾力的な時間割の設定」の 2点が重要な視点となり、教員にも発想の転換が求められます。例えば、音楽と国語の学習を組み合わせたり、その前に短い遊びの時間を設けたりして、子どもたちの学習意欲が高まるよう工夫しています。

 もちろん、このような取組を進めても、登校渋りが全くなくなるわけではありません。子どもや保護者にしっかりと寄り添うことが何より大切だと感じています。

 それでも、スタートカリキュラムの実践を通して、小学校教員はこれまでの固定的な見方を見直し、幼児教育の視点をより意識できるようになりました。子どもたちが安心して学校生活をスタートできるよう、これからも幼児教育と小学校教育の円滑な接続を大切にしながら、架け橋プログラムの充実に努めていきたいと考えております。